距離トラッキング

距離トラッキングは、クリックする代わりに正確な長さを入力して点を配置する機能です。コントロールバーの Dist トグル(Pins と ANGL の隣)で切り替えます。既定で有効で、設定はセッションをまたいで保持されます。

もたらすものは限定的ですが有用です。直近のベクターピンを、角度トラッキングが計測の起点とする位置にできます。これがないと、コマンドは自分がすでに取得した点からしか計測できません。つまり図形の 最初の 点には、そもそも計測の起点となるものが何もないのです。

三つのトグルは連携して働く

距離トラッキングは単独では成立しません。長さを入力できるようになるには、他の二つのトグルが正しい状態にある必要があります。

トグル役割
Pins基準点を与えます。スナップ点の上に 500 ms 留まるとピン留めされます — Vector Pins を参照。
ANGL角度を与えます。距離トラッキングはカーソルが角度にロックされて初めて使えるため、ANGL は Off ではなく刻み(10°、20°、30°、45°、90°)に設定しておく必要があります。
Distコマンド自身の点だけでなく、ピンを起点として使うことを許可します。

Pins と Dist が有効でも ANGL が Off の場合は何も起きません。長さを測るべきロックされた方向が存在しないからです。

Pins と Dist の連動

ピンが無効なら距離トラッキングは意味を持たないため、二つのトグルは足並みを揃えます。

  • Pins を有効にするDist も有効になります。
  • Pins を無効にするDist も無効になります。
  • Dist を有効にすると、まだ無効だった場合は Pins も有効になります。
  • Dist を無効にしてPins は有効なままです。

したがって Pins が無効のあいだ Dist が有効になることはありません。一方で、位置合わせのためにピントラッキングは残しつつ距離トラッキングだけ切ることもできます — 自分の直前の点にロックしたいのにカーソルがピンに吸い付くのは困る、けれど参照線は欲しい、という場合に便利です。

正確な距離に点を配置する

  1. PinsDist を有効にし、ANGL を角度刻みに設定します。
  2. 点を求めるコマンドを開始します — LineCircleRectangle など。
  3. 基準点をピン留めします:既存のスナップ点の上にカーソルを置き、マーカーが塗りつぶされた四角に変わるまで待ちます。
  4. おおよそ狙う角度の方向へ、カーソルをピンから離します。ANGL の刻みのいずれかに近づくと方向がロックされ、ピンからトラッキング表示が現れます。
  5. 長さを入力して Enter または Space を押します。点はロックされた角度に沿って、ピンからちょうどその距離の位置に配置されます。

入力できるタイミングはターミナルのプロンプトが教えてくれます。ロック中は次のように表示されます:

pick start point or enter length: [ ]

入力した値は角かっこの中に表示されます。

最初の点が要になる理由

これこそ、この機能がなければ不可能なケースです。既存の角から右へちょうど 250 単位の位置から線を始めたいとします。

  1. Line を開始します。
  2. その既存の角をピン留めします。
  3. 方向が 0° でロックされるまで右へ動かします。
  4. 250 と入力し、Enter を押します。

線は角から 250 単位の点から始まります。作図補助線も暗算も要りません。Dist がなければ Line コマンドはまだ点を一つも取得しておらず、入力した長さを測る 起点 が存在しません。おおよその位置でクリックするか、補助線を引いて後から消すしかありませんでした。

二点目以降はコマンドがすでに自分の起点(直前の点)を持っており、そちらが優先して使われます。ピンが代替として参照されるのは、自分の起点がロックされていないときだけです。したがって何かをピン留めしても、すでに得ているロックが横取りされることはありません。

入力するとロックが固定される

数字を打ち始めた時点で、起点は変化しなくなります。最初の数字が入った瞬間にロックされていた点が、確定するか入力欄を空にするまで起点であり続けます — 入力の途中でマウスを動かしても、計測が別のピンやコマンド自身の点へ黙って移ることはありません。

キーボード一覧

キー動作
09.長さに追記
-負の長さ — ロックされた角度に沿って向きを反転(先頭の一文字のみ)
Backspace末尾の一文字を削除
Enter / Space入力した長さの位置に点を配置
Escapeコマンドを中止。ロックと入力値はクリアされます

長さの入力は任意です。方向がロックされていればクリックでも配置でき、その点はロックされた角度上に投影されます。

使える場所

距離トラッキングは、点の指定を求めるすべてのコマンドで利用できます:

LinePolylineArcCircleEllipseRectangleSpline CvSpline FitLeaderAreaMoveCopyViewportCopy

関連項目

  • Vector Pins — 点のピン留めと、その参照線に沿ったトラッキング
  • Grid & Snap — コントロールバーにある他の精度補助
  • Distance — 新しい長さを入力するのではなく、既存の距離を測る